板取引と相対取引【後編】

コラム
スポンサーリンク

前編からの続きです。

では行ってみましょう。

スポンサーリンク

提示レートの怪

業者が提示する売り価格・買い価格はカバー取引する前提で組成されてることが多く、カバー取引の際どこに注文を入れている(リクイディティプロバイダーと呼ぶ)か明示していない業者もあり、相対業者の提示レートの信頼性や約定力も大切になってきます。

リクイディティ・プロバイダーとは|マーケット用語集|iFinance
リクイディティ・プロバイダ-(Liquidity Provider)は、マーケットにおいて、流動性を供給する業者をいいま...


株価指数の相対取引では、先物取引所の板取引の注文状況(板)を参照している業者が多く、そのため提示レートも取引所の流動性次第なところがあります。


取引所より有利な相対レートを提示してしまうと業者もカバー取引で瞬時に損失を出してしまうため、多くの業者では取引所先物の最良気配価格(売り価格と買い価格が一番近い同士)にプラスアルファの価格提示を行っているような業者が多いです。

実際の提示レートはどうなのか、比較してみましょう


ですので、勘の鋭い方は気付いたと思いますが、ここで大切になってくるのが前回説明した、板取引における呼値です。


どうしても日経平均先物では5円刻みが基本的に最小単位なため、相対業者ではスプレッド2~7円以上で提示する業者は多いです。海外の相対業者であれば12~30円以上で提供しているところもザラにあります。

IG証券、大阪取引所225ミニ先物、クリック証券CFDの比較

それに対してダウ先物は1ドル呼値のため2~3ドルスプレッドで価格提示している業者も多く、似たような商品にも関わらずスプレッドコストは見かけ上は圧倒的に日経平均のほうが高くついてしまいます。

ダウ先物のCME本市場とクリック証券CFDとの比較

基本的に相対取引では業者に価格提示の主導権が握られているため、顧客から見れば常に業者の言いなりの板で実質的に成行売買させられていることになります。
つまりエントリーからクローズにおいて必ずスプレッド分の含み損を抱えるところからスタートするわけです。
スプレッドが実質的に手数料の役目を果たすわけです。
手数料無料とよく業者は謳っていますが、彼らの収益源のひとつはスプレッドによるものだったりします。
もちろんスプレッドが広ければ広いほど顧客のトレーディングは不利になります。
利益に変えようと思えばスプレッド分以上の値動きが必要ですから。


板取引の場合、指定価格でのマッチングがあれば売買成立なので、基本的に相対取引におけるスプレッドという考え方で対応しません。
常に成行注文を入れる方にとってはスプレッドという捉え方もできますが、個人的な考え方ではその辺少し解釈が異なります。

はっきり言って相対取引で日経平均株価を取引するのはコスト的に高くついてしまいます。
先物市場で直接取引した方が良いことが多いでしょう。
ダウ先物ですら先物板のほうがコストは安くつきます。

ちなみにプライスを提示し、注文を受けてくれる(流動性を提供している)業者のことをマーケットメイカーと呼びます。業者にとってはカバー取引の注文を受けてくれる流動性供給者のことです。
マーケットメイカー(市場作る人)みたいな誤訳して相場操縦してる闇の勢力みたいな勘違い
はしないでくださいネ!!

マーケットメーカーとは|マーケット用語集|iFinance
マーケットメーカー(Market Maker)は、マーケットメイク方式において、取引所より資格を得た値付け業者のことをい...

相対取引における注意点

2way相対取引ではその提示価格の信頼性も重視しなければなりません。
本当に提示価格通りで業者が注文を受けてくれるのかという視点も重要です。
(そもそもその提示価格は何を元に配信しているのかと)

大前提として顧客は常に業者に価格主導権握られています。
その上、業者は意図的に2way提示価格スプレッドを広げることで、顧客のストップ注文を発動させることすら可能です。
俗にそれをストップ狩りと呼びます。

特定の業者だけ、他とは明らかに違う高値や安値を頻繁に付けているような業者は素人にも金持ちにもオススメしません。


致命的なのはその提示価格がストップ注文の判定価格として採用されていること。
以下某海外業者の実例を挙げます。

某海外業者の実例

チャートも業者によって全然違ったりしますし、チャートテクニカルで短期売買する方にはシグナル発生のタイミングが違ったりするので、そういう方には不確定要素が強く安心できないと思います。

個人的な見解と総括


結局、相対取引は取引所の本市場に対しての、二次的な仮想市場という意味合いが強いです。

完全な顧客注文ノミ業者だとマーケットに直接インパクトすら与えないため、業者が親でサシ麻雀打ってるようなもので、マーケットの息づかいのようなものすら感じることが出来ないのです。
世界の参加者が集う市場に参加しているようで、実はクローズドな二人っきりの世界で切った張ったしてるだけだったというオチです。

個人的にはよほどの理由が無いかぎり取引コストが比較的安くつく板取引を皆さんにオススメしたいです。
日頃みなさんにツイートなどで板取引をオススメしてる理由はそういうことなどを踏まえてでもあります。
取引所の価格は多数の参加者に支えられています。
チャート分析も取引所の価格が信頼に値すると個人的に考えています。
その他のチャートはすべて業者の匙加減ひとつでどんな形でも描ける架空の存在のようなものです。

全てこれらは私独自の意見であり、いろんな考え方もあると思います。相対取引のほうが場合によっては低コストで取引できたり、業者の損失になるようなシステム上の穴を突いたトレードも相対取引ならでは良く発生しますので、個人の利益だけを追求するなら取引チャンネルは多数あれば良いと考えています。

前回の手数料のトピックでも触れましたが、手数が多く短期であればあるほど、コストが安くつく手段でトレードすることを意識付けていきたいものです。

次回、「貴方が見てるその価格、そのテクニカル指標、どこの世界の数字ですか??

タイトルとURLをコピーしました