さて、前回までは板取引と相対取引についてざっくり概要を説明しました。
んなこと知ってるよ、って人もたくさんおられたかと思います。
今日もまた少し普段から気になってることを書いていこうかなと思います。
後のコラムでつながってくるかと思いますので、お付き合いくださいませw
原油価格がマイナスになったらしい?
昨今よく話題にのぼる原油相場ですが、ツイッターで話題になるたびいつも気になることがあります。
「原油Lした」「原油0ドル割れたー」とかいろんなツイートが画像つきで回ってきます。
ご丁寧にチャートつけてくれたり、ポジった価格と含み益等晒してドヤァしてくれるのは大いに結構なのですが、みなさんこんなことを感じた人はいませんか?
ニュースとかで言ってるけど、そもそも俺の見てるチャート0ドル割れてへんがな、、、
ぼくの見てるチャートと全然価格違うんだけど、、、
1ドルで買ったとか言ってるけど10ドルも割れてないしィ!
等々。
そうなんです!
恐らくここに来られる推定80%以上のみなさんが見てる原油価格のほとんどはどれも正解と言えますし、どれも正しくないとも言えます。
それはなぜか?貴方が見てるその原油価格のほとんどは、相対業者が値付けした二次的(考え方によっては三次的、四次的、、)で仮想的()な価格だからです。
原油といっても甘かったり酸っぱかったり、いろんな味があるんですよw
そもそも原油というモノ自体、たくさんの種類があります。
採れる場所も違えば、それを取引する市場も違います。
身近な感覚で言うと、食べ物なら例えば牡蠣。
牡蠣といえば
広島じゃろ
って人もいれば、「いやいや宮城県やろ」、「は?岡山」「三重」「佐賀」、、キリがありません。
そしてブランドや大きさ、採れる時期等、そもそもの人気、需給等さまざまな要因で価格が決まります。
「牡蠣って、一個いくらぐらい?」って聞けば、人によって恐らく答える価格も違うんじゃないでしょうか。
原油も採れる場所や市場で、品質も変われば価格も取引単位も変わってきます。世界にはたくさんの種類の原油が生産されています。
そして、原油取引市場といっても牡蠣やマグロみたいに実際のモノ(現物)を見定めてやり取りできるほど取り扱いが生易しいモノでもないので、先物取引によって市場取引され価格が形成されていきます。決済のルールも様々です。
マイナス価格に史上初めて突入したという騒動の2020年4月の原油相場が、ニューヨークのNYMEX上場のWTI原油先物という商品です。
このいきさつについては加納裕三氏がまとめておられます。
つまりこのように原油といってもさまざまな商品があります。
その価格は一体誰がどうやって決めてんの?
ではそのことを踏まえて普段利用している原油チャートを開いてみましょう。
みなさんが普段見てる原油チャートは一体何の価格なんでしょうか?
どこかの相対業者の提示価格を見ている人がほとんどではありませんか?
そもそも取引量の多い先物市場の取引価格や板を直接見ている人はどれぐらいいるのでしょうか?
(実は価格形成において、WTI原油先物は多大な影響を与えているものの生産量や世界シェアは全然大したことが無いという大切な小噺もありますw)
その業者はいったいどんなルールで、どんなカバー方法で、その価格を提示しているのでしょうか?
とある業者は、WTI原油先物がカバー先と言ってたりしますが、先物の取引期限によって価格差(鞘、スプレッド)が大きく、価格やチャートの連続性を維持するために毎月予定の日付を決めて価格調整されています。
しかし、今回異常事態が発生し続けていたため、事前通告も無しにその業者は予定外の価格調整を突然行ったのです。それにより業者提示価格もチャートも変わり、もちろん参照している先物も変わったため、その日からいきなり価格変動の要素も変わりました。
冷静に考えて怖いと思いませんか?
自分が取引してると思ってた商品が次の日朝起きたら違う商品になってたという。。。
常に価格の決定権は業者に握られていることを実感できる事例のひとつです。
そこで生成されるチャートやテクニカル指標に何の意味がありますか?
その大きな窓は何を意味しますか?
業者によって全然違う形状の移動平均線や雲に、何の意味があるのでしょうか?
テクニカル指標や、インジケーターの沼にはまっている人はこのもう一度冷静に考えてみてほしいと思います。
そのナントカ移動平均線がゴールデンクロスしたチャート、世界の中でどれぐらいの人が見ていますか?
あなたのそのトレード
何を誰とやりとりしているのか、少し考えてみませんか?
「そんなこと言っても結局勝てば無問題」
「だからなに?」
特に何も感じない人はそれでもかまいません。
勝てば正義の世界ですし、存分にドヤリングすればいいと思います。
ただ何も考えたことなくて、今回少しでも考えるきっかけになった方にとっては現在のご自身の環境が気になったのではないでしょうか?
今回は旬な話題でわかりやすいネタだった原油価格をテーマにしてみましたが、その他みなさんが普段見ている商品のチャートに置き換えて考えてみてもらえると良いかと思います。
今回はこの辺で!
また次回!