理想的な格差とは、 国民の実質可処分所得が正規分布している状態。それが正当な格差状態。

コラム
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金融政策の本質

いろいろな金融政策を考えるうえで以下の観点を常に持っていれば、間違えることはない。

すべての金融政策の本質は、
社会の中の幸福量が大きくなるように、
文明と文化の成長を最大限 安定加速させるために行われるべきものであり、

1、なるべく低リスクなまま、
2、どの場所(人)に、
3、どれだけの量の資金を、
4、どのタイミングで移動させるか。

これが金融政策の全てであり、本質。
金利の決定とか国債発行量とか税率の決定などといった金融政策もろもろすべて、
この本質のうえで行われている事。

いろいろな金融政策を考えるうえでこの観点を常に持っていれば間違えることはない。
その政策が正しいものかどうかはこれで把握すればいい。

MMT

たとえばMMTというものは上記に照らすと次のような結論になる。

MMTは「ハイパーインフレしないようにしながら国債発行して財源にすればいい。税金で財源を回収するより効率的だ」というものだが、
現在の資本分布状態のまま国債発行をしても、
円の価値を低下させることで現在の財源を増やすか、
将来の公共サービスや社会保障やインフラの質といった、税金で行われるものの質が犠牲になることは免れない。
MMTは一時的にそれらを犠牲にして、上記2,3,4を行っていこうというものなのだが、
現在の状況下でそれを行っても、得られた財源の多くが金融緩和という形で主に富裕層に分配されていってしまう。
すると庶民の所得がすこし増えたとしても、株などのインフレに強い資産を持つ富裕層に比べれば損をする。
(例 庶民が株で100万を200万にした時、富裕層は1億を2億にできる。つまり格差は以前より開く)
これは上記2,3,4に反しており効率的成長状態から遠ざかる。
また、通貨価値を毀損されたのも響くので、国民の中央値の所得が伸びても購買力が伸びない。
国債を財源として公共サービスの質を一時的に上げても、それ以上に将来受けられる公共サービスの質の低下を招いてしまう。
以上から国民の多くにとっては、現在の所得分布のまま国債発行を財源とすることは、利益より損のほうが大きくなる。

国債は今後の国民資産や労働力の前借りなので、あくまで調整資金として使うべき物。
税金はすでに国民が働いて得た回った資金から回収された物なので、
国債と税金は本質的に性質が違う。
基本的に既に実現された結果である税金で国家運営するのが健全であり、クレジットで運営するのはリスクが発生するので上記1に反する。

MMTによってつくった財源を富裕層にではなく、所得が正規分布するよう国民に分配できればこれらの問題はなくなるが、
それは別にMMTじゃなくても同じ問題である。
結局、上記1.2.3.4をクリアするには、作った財源をいかに正規分布するように国民に還元するかが大切だと分かる。
税金や国債で得た財源を、国民の所得が正規分布に近づくように分配すれば、その国家は最大成長効率となる。
(需要余地や成長余地が大量にある状況では、
格差を見逃すことで資本が成長拡大しやすい部分に自然に集まり、結果として効率が良くなることはあったかもしれない。
しかし、一度国家に資本を集めて、それを再分配時に適切に投資ができれば、同じ結果を得ることはできただろう。)
税金の累進課税でそれを達成するのがよいわけだが、富裕層の抵抗や政治家との癒着によってそれが果たされていない。
MMTによって作った財源を、国民所得が正規分布するように分配すれば、富裕層を無視して強制的にそれを行うことができるが、
現在は、MMTによってつくった財源は富裕層のほうへばら撒かれているので、かえってひどい状況になるだけになっている。
国家にとって必要なのは、MMTかどうかではなく、所得を正規分布に近づけるシステムだと分かる。

所得を正規分布に近づける

政府には通貨発行権がある
だから政府は税収がなくても支出できるし政府債務がどれだけストックで積み上がろうと問題ない
だが無税国家は不可能。なぜならインフレ率の調整や国民や企業間の格差是正や通貨の通用力確保のために徴税が必要だから。
税の役割は財源ではなく別の部分にあるわけだ。
つまり税は徴税が終わった段階で役割を終えている。
政府予算で使われている税は、本来の役割を終えた税を財源としてリサイクルしているだけにすぎない。
大事なのは政府が税収にとらわれずインフレ率等の経済バランスを財政規律の基準とすること。
税は財源ではなく経済調整手段なので税収と政府支出を均衡させる事を目的化してはいけない。

経済政策なんてのはとどのつまり
なるべくリスクが低い方法で、社会の中のお金をどの場所に、どのタイミングで、どれだけ配分するかを調整することでしかない。
そのバランスがうまくとれると社会は発展しやすい状態になる。
(あくまでしやすいだけであって、きちんと実際の価値創造できる実力もつけて行かないと勿論成長しないが。)
バランスとりが悪いと、格差が生まれることで需要が減って、生産と消費の循環がなくなり、
経済がうまく回らなくなって社会も発展しにくくなる。
お金を刷るのも、国債を発行するのも、金利調整するのも、各種税金を上下させるのも、
すべてそのバランスを適切にするためのもの。

理想的な格差とは、
国民の実質可処分所得が正規分布している状態。それが正当な格差状態。
だが一部の人間を肥やす政策によって、いびつになってしまっている。
これをただすのが王道。

政治家とそれに金出してる企業が、自分たちの保身と利益のためにそれをさせないようにしている。

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